

「先端的癌治療研究の拠点」として文部科学省の21世紀COEプログラムにも採択されている久留米大学。学術研究・交流や教育のさらなる充実に高速なインターネット基盤が不可欠と判断した同大学は、ラドウェア社のISP負荷分散装置「LinkProof」、サーバ負荷分散装置「Web Server Director(WSD)」を導入してインターネット環境を刷新した。
トラフィックの増大で通信速度の低下が問題に
70年余の伝統を誇る久留米大学は、地域や時代のニーズに応じた教育の実践や特色ある事業の推進、産学官連携にも積極的に取り組んでいる。2003年には 文部科学省が推進する21世紀COE(Center of Excellence=卓越した拠点)プログラムにおいて、「先端的癌治療研究の拠点」として採択されている。
情報教育やインターネットを利用した研究・教育の推進にも力を注ぎ、学生約6,200名、教職員約2,800名にIDを配付して、電子メールを利用した国 内外との研究交流や電子ジャーナル(インターネット経由で読める学術雑誌)、情報検索など多様な利用を促している。文系の学部が集中する御井キャンパスの 情報教育センターには学生用に500台の端末を設置、また200名の学生が一斉に授業を受けられるクラスも用意されている。
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久留米大学 |
しかし、学生のインターネット利用が浸透するにつれて、トラフィックが増大し通信速度の低下が顕著になってきた。同大学情報教育センター所長の荒井功教授は、「授業で学生が一斉にアクセスするようなケースも多く、そうした際には速度が極端に低下する、また、授業で利用しているときには、それ以外でアクセスが難しくなるという状況でした」と語る。
一方、医学部のある旭町キャンパスにおいても状況は同様で、情報システム医学部委員会委員長の神田芳郎教授は、「研究者や学生が頻繁に利用する電子ジャーナルでも、最近は図版を駆使した情報量の多いものが増えていることもあって、利用者からはダウンロードに時間がかかりすぎるというクレームも発生していました」と語っている。
同大学では、従来、商用WAN回線と商用ブロードバンド回線を併用していたが、こうしたネットワークの帯域不足の慢性化という問題を解決するため、また、インターネットが研究や授業の基盤として今後もますます利用が進むという視点から、インターネット利用環境の改善・強化の検討に着手した。
LinkProof活用で、コストを抑制しつつパフォーマンスを最適化
同大学では、ネットワークの冗長性や運用性、コストパフォーマンスなどさまざまな条件を検討し解決策を探っていたが、既存の商用WAN回線と商用ブロードバンド回線を束ねて利用できるラドウェア社のISP負荷分散装置「LinkProof」に着目、2004年秋にネクストコム(株)の協力を得てテスト導入した。その結果、トラフィックが集中した場合でも高いパフォーマンスが得られること、回線コストの負担を増やすことなく運用できることなど、期待した効果が得られたので、LinkProofの導入を決めた。
同大学情報システム室の小宮課長補佐は、「安定した高速なインターネット・アクセスを実現する方法をさまざま模索してきましたが、ブロードバンド回線を束ねて利用できるLinkProofは、他にはないソリューションでした。本学の場合、Webアクセスの利用がほとんどなので、アウトバウンドのトラフィックを最適なISPルートに自動的に振り分けることで高速なアクセスを実現するLinkProofは絶好の解決策となりました。また、煩雑な設定が必要となるBGPルータと比較すると、導入がしやすいというメリットも導入を決める大きな要素になりました」と語る。
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同大学では、2005年4月にまず御井キャンパスで冗長化構成のLinkProofが稼働を開始、その効果を確認した上で、同8月には旭町キャンパスでLinkProofを利用したネットワークシステムがスタートしている。また、御井キャンパスではサーバ負荷分散装置「Web Server Director(WSD)」を導入してWebサーバへのトラフィック増大をコントロールしている。
御井キャンパスでLinkProofを二重化した理由については、「こちらがインターネット・アクセスのライフラインで、万一、機器の障害が発生した場合でもノンストップで運用が確保できるように構成しました」(小宮氏)という。
無線LANやe-Learningの展開に向け、基盤は整った
LinkProofとWSDを導入してインターネット利用環境を刷新した効果は劇的なものがあったと神田教授は語る。「あまりに高速になったので、ファイ ルのダウンロードができないと勘違いし、二重三重にダウンロードしてしまうケースもありました」。従来のようなトラフィックの集中による帯域不足は解消し、研究や学生に快適なインターネット・アクセス環境が提供できるようになった。

また、新システムの稼働以降に回線キャリアのダウンやメンテナンスによる停止もあったが、LinkProofのダイナミックな負荷分散により、迂回路へトラフィックを流したので利用者にはまったく気づかれることはなく、インターネット・アクセスの環境はしっかりと確保できたという。こうした信頼性・可用性の向上も新システムの大きな効果である。
システムの運用面でも、LinkProof独自のデスティネーショングルーピング機能やソースグルーピング機能、アプリケーショングルーピング機能などを駆使することで、設定などの運用管理性は大幅に向上しているという。たとえば、電子ジャーナルの利用では契約上IPアドレスが限定される場合があるが、LinkProofのデスティネーショングルーピング機能を利用することで、約2000程度の電子ジャーナルサイトをグループ化できている。
今回のインターネット基盤の刷新では、WAN回線も3回線増設しており、LinkProofの負荷分散機能を最大限に利用していくという。荒井教授は今後のシステム展開について、「御井キャンパスでは無線LANも本格的にスタートしていますし、e-Learningの授業などもすでに始まっています。今後、研究者や学生にとって利便性の高いこうしたサービスの利用は急速に増大していくのは確実でしょう。その場合、ノンストップの安定した、しかも高速なインターネット・アクセスは基本であり、今回の基盤の刷新は今後ますます大きな効果をもたらすと期待しています」と語っている。
情報システム室では、今回のインターネット利用環境の刷新で基盤は構築できたと判断している。今後は無線LANの利用拡大などを想定し、一層のセキュリティ強化を図っていきたいとしている。
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